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皆さんの健康と医療

平成13年2月号 人工透析ってどんなもの? (全2ページ)

治療の方法と効果について 人工透析ってどんなもの? (1ページ目)

人工透析という言葉をご存知ですか?誰でもどこかで一度や二度はお聞きになったことがあるのではないでしょうか。
何をやるのかよく知らないけど、とても大変なものらしい、ということもお聞きになったことがあるでしょう。

どんな病気の人が透析を受けるのでしょうか?

私は二十年以上も、この特殊な治療法に携わってきました。その経験から、皆さんに透析に関する正しい知識をぜひ持っていただきたいと思います。

透析を受けているのは、腎臓の働きが悪くなってしまった人たちです。では、腎臓って何をするところなのでしょうか。

腎臓は身体の中の老廃物や水分を濾し出して、お小水として捨てるところなのです。腎臓は慢性糸球体腎炎、糖尿病、高血圧、膠原病、嚢胞腎、結核、癌など、いろいろな病気で侵されてしまいます。腎臓の病気になっても、たいていの場合、始めのうちは痛いところがあるわけではなく、せいぜいお小水に蛋白が混じったり、極くわずかな血液が混じったりするだけです。

腎臓の病気には、はっきり言って特効薬はありません。
ですから、病気であるとわかったら、できるだけ進まないように努力をするしかありません。高血圧や糖尿病は、腎臓をとてもいためてしまいます。でも今は大変良い薬ができていますし、栄養に関するいろいろな知識もありますから、初期の段階から専門のお医者さんと相談して本気で取り組めば、もっとたくさんの人が腎臓をいためないですむはずなのです。
残念なことに、透析になる人を見ていると、このことに気が付くのが遅すぎたという人が大変多いのです。

さて、蛋白尿を放っておいて数年、人によっては十数年、腎臓は静かに、しかし確実に悪くなってゆきます。腎臓の悪くなる速度は、元の病気や本人の取り組み方によって違いますが、足にムクミが出てきたり、貧血が認められるようになったら、腎臓の機能はもう普通の人の三分の一ぐらいしかない、と考えていいでしょう。これを放っておくと、体の中に老廃物があふれてしまう、いわゆる尿毒症という状態になり、昔ならここで人生は終わりということでした。透析を始めるのは、この段階の人たちで、透析か腎移植のほかに助ける方法がないからです。

実際の透析はどんな風に行うのでしょうか?

透析には、血液透析と腹膜透析の二種類がありますが、ここでは今のところ大勢を占めている血液透析について説明しましょう。血液透析では、血管に二本の針を刺し、一方の針から老廃物がたくさん溜まった汚い血液を取り出して、血液をきれいにする機械の中を通し、きれいになった血液を、もう一方の針から返してやるという作業をします。また同時に、体の中に溜まりこんだ水分も濾し出します。これを一回四〜五時間、週三回定期的に行います。

皆さんご存知の通り、私たちの腎臓は四六時中休むことなく働いています。計算すると、一週間で百六十八時間にもなるのです。人間の心臓が百六十八時間もかかって処理する老廃物を、僅か十二〜十五時間でかたづけようとするのですから、どうしても無理があります。
まず、あまりたくさんのものを食べてしまいますと、老廃物も増えてしまいますから、食事の量を抑えなければなりません。また、あまりたくさんの水分を摂ってしまいますと、お小水が出ないので、水ぶくれになり、高血圧や心不全を引き起こします。ですから飲む水の量も制限されます。

食べるのも飲むのも不自由になってしまうか、と皆さん思われるかもしれません。でも、その他のこと、例えば見たり聞いたり、歩いたり仕事したりするなど、透析以外の時間はまったく普通に生活することができます。

皆さんの健康を祈ります。 次のページへ 前のページへ